2016年 ホタルボランティア紙芝居より
- はじめに みなさん、こんばんは。みなさんはゲンジボタルを知っていますか。私たちは、毎日ゲンジボタルの観察をしたり、「光のおうち」や「天の川」でゲンジボタルを育てたりしています。今から、私たちが大切に育てているゲンジボタルの一生の紙芝居をします。
6月の夜、7時半頃からホタルが飛び始めます。キレイに光りながら飛び始めたゲンジボタルは、時間がたつにつれて、だんだんその数が増えていきます。午後8時ごろから9時ごろまでの間が、もっとも多く飛び回る時間です。この時間にホタルを見てください。
2. 成虫の体のしくみ
6月の初め、ここ立田地区では、ゲンジボタルが飛び始めます。体の小さい方がオスで、大きい方がメスです。ホタルの光るところはいくるあるか、分かりますか?オスは第六関節と第七関節の2つ光ります。メスは第六関節1つしか光りません。メスの第七関節には、卵がつまっているからです。ゲンジボタルは、昆虫の中でもカブトムシなどと同じ甲虫類です。ホタル科の仲間には、全国に40種類以上いますが、幼虫の時代を、水中で過ごすのは、ゲンジボタルとヘイケボタル、最近発見されたクメジマボタルの3種類だけです。
3.交尾
ゲンジボタルは、オスとメスとでは、光り方や光の強さが違います。飛び回りながら、強い光を点滅させているのはオスです。草や木の葉の上でじっと止まって、弱く光っているのは、たいていメスです。立田地区のゲンジボタルは2秒光って2秒消えることを繰り返しています。みなさんも、1,2、1,2と数えてみてください。消えては2秒後には、また光が見えてくるはずです。
オスは、強く光を点めつさせながら、メスを探して飛び回り、メスのわずかな光の合図を見つけると、いそいで飛んでいき、お尻をくっつけて交尾をするのです。
4. 産卵
交尾は一晩続き、その後、力を使い果たしたオスはまもなく死んでしまいます。交尾を終えたメスは、4,5日たつと産卵を始めます。卵の大きさは、0.5mm位で、1匹のメスは500~1000個程産卵します。産卵場所は、川岸の岩や木に生えているコケです。コケのある場所は、水分が多く、卵を乾燥から守ってくれます。ホタルのオスは、3日くらいしか生きられませんが、メスは一週間ぐらい生きます。
5. 孵化
コケに産み付けられた卵は、最初クリーム色をしています。12,3日程すると、幼虫の背中の模様が見えてきます。その後、日が経つと、だんだん全体が黒くなり、中の様子が分かってきます。卵は早いと、20日くらいでかえり、遅いと1ヶ月以上かかる卵もありますが、だいたい25日くらいでかえります。かえったばかりの幼虫は体長わずか1.5mmほどしかありません。幼虫はかえると、すぐ水中で生活を始めます。
6. 幼虫の餌
幼虫の餌は「カワニナ」という巻貝です。まず、幼虫は、カワニナの柔らかい体の部分にかみつきます。そして口から消化液を出して、カワニナの肉をどろどろに溶かして、食べるのです。幼虫は、自分の体と同じぐらいの大きさのカワニナを食べますが、えさのカワニナが大きいときは、2,3匹集まってきて食べることもあります。
7. 脱皮
カワニナをたくさん食べて大きくなるときはに、幼虫は脱皮をします。脱皮が近づくと餌を食べなくなり、動きも鈍くなります。やがて、しばらく動かなくなり、脱皮が始まります。脱皮の仕方は、体を曲げ伸ばししているうちに体の一部に裂け目ができ、その裂け目から白い体が出てきます。脱皮したばかりは、真っ白ですが、すぐに背中の模様が現れてきて、次第に色は濃くなっていきます。また、胸の模様は、脱皮をするごとに変わっていきます。脱皮がさかんなのは、10月、11月で、餌のカワニナをたくさん食べて脱皮をし、水温が下がる冬までに大きくなります。大きくなった幼虫は、5回、ときには6回の脱皮をし2.5cmくらいになります。
8. 幼虫の体の仕組み
幼虫の体も頭、胸、腹に分かれています。一番の特徴は、おしりに「発光器」がついていることです。この発光器が光るので、水中でも幼虫を見つけることがあります。お尻には、「尾脚」があります。これを使って石などにつかまり、水の勢いに流されないようにします。足は6本で、足とよく間違えるのは、はらにある16本の「呼吸えら」です。これがあるから、水の中で呼吸ができるのです。頭には「触覚」とするどい「あご」があります。それは、えさをさがすためにあります。危険を感じた時には、丸くなったり、時には、体の両側から強いにおいがする毒を出したりします。
9. 上陸
春になると、幼虫は、ほとんどカワニナを食べなくなります。やがて気温と水温が10度くらいにあがると、雨の日の夜、幼虫は発光器を光らせながら水からあがっていきます。これを上陸といいます。上陸のときの光り方は、成虫よりもゆっくりで、10秒間隔ぐらいで光ったり消えたりしています。幼虫は、しめった地面を歩き、ときには大きな石やがけをよじ登り、さなぎになる場所を探します。柔らかい土のある、気に入った場所を見つけると、頭から潜っていきます。その深さは、地面のすぐ下が多く、5cmより深くなることはほとんどありません。今年は、学校の天の川で56匹、人工川で68匹、上陸を確認しました。